
ここでは痛風のためというよりは、筋トレを主眼において記述します。
インスリンというホルモンは、糖尿病の人や肥満を気にする人にとっては良いイメージはないかも知れませんね。
血糖値を下げるインスリンの分泌が足らなかったり、何かの理由でインスリンが糖を各組織にうまく送ることができないと、血中の糖分が余剰状態になり糖尿病のリスクが高まります。
また、大食いをしてしまうと血糖値が急上昇してしまいます。そうすると、インスリンによって糖質が脂肪細胞に溜め込まれてしまい、肥満の原因になります。
ですが、このインスリン、実は運動直後には非常に有益な働きをしてくれます。
インスリンの重要な働き
食事などで炭水化物などの糖質が体内に入ると、ブドウ糖に変わります。
そうすると、すい臓からインスリンが分泌され、インスリンがブドウ糖を各組織に送りこみ、ブドウ糖が各組織のエネルギーになります。
ブドウ糖が送られる先は、主に筋細胞と脂肪細胞、そして脳を含めた各組織です。
ブドウ糖が各組織に届かないと、集中力の欠如や疲労感などの不調が現れます。
そのためインスリンの働きは重要になります。
食事などで炭水化物などの糖を摂取
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糖が体内でブドウ糖に変化
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血糖値上昇
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すい臓からインスリン分泌
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インスリンが糖を各組織へ誘導
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糖が各組織のエネルギーになる
このサイクルが正常に機能していれば、体調は保たれます。
うまく機能していなければ、先に述べた集中力の欠如、疲労、肥満の原因、そしてひどい場合には糖尿病のリスクが高まります。
筋トレ後の糖質摂取は脂肪増加に繋がらない!
先ほどインスリンによって糖が各組織へ送られエネルギーになると記述しました。
送られる先が筋細胞の場合、エネルギーとして使われるか、筋グリコーゲンとしてエネルギー貯蔵されます。
これが筋細胞ではなく脂肪細胞の場合、脂肪に合成されます。筋グリコーゲンの貯蔵量が満杯のときに血糖値が上昇すると、糖は筋細胞に取り込まれずに(というか筋細胞の貯蔵タンクがいっぱいの状態なので)脂肪細胞に取り込まれてしまいます。
それはつまり、脂肪が増え肥満に繋がるということです。
甘いものは太ってしまうと言われるのはこの理由からなんですね。
運動をしていない場合、筋細胞の貯蔵タンクがいっぱいです。その状態で糖を摂取すると、
炭水化物を摂取し体内でブドウ糖に変化
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ブドウ糖が筋細胞には行かず脂肪細胞に送られる
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脂肪が増え肥満になる
ただし運動直後の場合は、インスリンは優先的に筋細胞に糖質を送り込みます。
運動直後は、筋グリコーゲンが不足していて筋細胞の貯蔵タンクは空っぽの状態です。そのためインスリンは糖を筋肉に送り、貯蔵タンク内の糖の量を増やそうとします。
これをインスリンの感受性が上がるといいます。しかし、運動後の時間の経過とともにインスリンの感受性は下がっていきます。
そのため、運動直後、とくに激しい運動・筋トレ後は速やかに糖分摂取することが疲労回復に効果を発揮します。
筋トレ直後はGI値の高い飲み物や砂糖を摂取するのがベスト!
こう書くと糖尿病の方や肥満を気にされている方は驚くかもしれません。
まずGI値とは、グリセミック インデックス(またはグリセミック指数)の略で、炭水化物を摂取後、体内で糖に変わるまでのスピードのことをいいます。
GI値の高い食品とは、血糖値を上げやすい食品です。つまり糖分が多く含まれるということです。逆にGI値が低い食品とは血糖値の上昇を緩やかにし、ゆっくりと吸収される食品です。
血糖値が気になる場合、GI値が低い食品を摂るほうが良いのは確かです。
ただし、筋トレ直後に関してはGI値が高いものを摂取することは有益です。
運動後や筋トレ後は、筋グリコーゲンが低下しているため、疲労に繋がります。このとき筋肉の張りがなくなり、筋タンパクの分解が進んでしまいます。
そのため、筋トレ後の糖質補給は非常に重要になってきます。
筋トレ中のカロリーから考えて、糖質が30g、多くて50gくらいまでのものであれば、問題ないようです。
具体的には果物系ジュースやスポーツドリンクなら500mlを1本、角砂糖であれば10個前後くらいが良いと言われています。
角砂糖を10個というと、ちょっと躊躇してしまいますよね。
でもその分、筋トレでカロリーを消費していますから大丈夫のようです。
筋トレ直後はエネルギーが枯渇
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速やかに糖分を摂取
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脂肪細胞には取り込まれずに筋細胞の貯蔵タンクに糖質が補給される
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疲労回復
こんな感じでしょうか。疲れているときに糖分を摂る、という行為は間違いではなく、むしろ積極的に取り入れていくほうが良いですね。
筋トレ直後は他のサプリメントよりもまず糖分
筋疲労回復を目的とした場合、筋トレ直後の糖質補給が最優先になる。
つまり他のサプリメントなどよりも先に補給したほうが良いということになります。
リカバリーとしてクエン酸やグルタミンなどのサプリメントがありますが、それらよりも先に糖を摂取したほうが効果が大きいということですね。
筋トレしたらすぐにスポーツドリンクを飲む!
これを忘れずにいれば問題ないですね。
ただし、これは激しい運動をした場合に限ります。
糖尿病や肥満を気にされている方が、運動もせずにGI値の高い食品を摂るのはタブーです。もちろん、気にしていない方も同じです。
エネルギーを消費した分を糖質で補う、ということを心がければ、インスリンはとても良い役割を果たしてくれるということになりますね。